ユーフォニアム上達 Tips

ユーフォニアムをはじめ金管楽器奏者向けの情報サイト

リップスラー 唇の動き

全ての金管楽器奏者が取り組み、時に悩む「リップスラー

今回は中級者以上の方へ向けた、練習での考え方、概念や動きについて説明します。

最近なんとなく調子悪い、鳴りがイマイチのようにスッキリしない方にも読んで欲しい内容です。

 

f:id:artysm:20210217183054p:plain

リップスラー効果と2つのパターン

教則本の多くに様々なパターンやリズムのエクササイズがあります。

大まかには音の並び方で2つに分かれます。

  • 図1) 2notes (隣接する2〜3つの音程)を往復(順次に)する。
  • 図2)倍音を飛ばしながら演奏。(広い音程)

この2つは練習で得られる効果が異なるのを知っていますか?

f:id:artysm:20220216214215j:plain

図1

 

f:id:artysm:20220216214227j:plain

図2

 

倍音の移動=リップスラー

金管楽器は図3)のように、1つのポジション(運指)で10個前後の音高を演奏出来ます。すなわち、金管楽器にとってもう一つの音階とも言い換えられるでしょう。

大切なのは、演奏する上で、息の勢い/唇の緊張の変化が組み合わさって発音するので倍音を意図的にコントロールする事が上達に繋がる点に疑問を挟む余地は無いでしょう。

f:id:artysm:20220216214239j:plain

図3

ほぼ全てのパターンが網羅される1冊。 

 

2ノーツ(notes)順次進行の場合

一般的なエクササイズ。図1)スタートの音の向きは下降/上昇どちらでも良いです。

演奏時、2つ目の音へ移動する際、わずかに唇やマウスピース周辺が動きます。(アンブシュアモーション)その際、以下の3点を注目

  • 上下左右への移動
  • マウスピースの圧力
  • その方向性

f:id:artysm:20211228214321j:plain

上図の実線は1音目、点線は2音目への移動例です。奏者からすると僅かに左へ移動しました。この感触(事実)を認識しているか?

この際、マウスピースの圧力が移動に伴い、左が強く当たるか? また右が強く当たるか? 感じましょう。(★個人により上下左右のパターンが異なります)

最後、音域を広げる際、重要となるのが、この移動方向が常に一定か

 例)チューニングB→ F→ B 下降形ですが、この例の人では、下がる度に左下(上)へずれていき、上昇形なら上がる度に右上(下)へ連続的に移動します。

このパターンの練習メリットであり、後に続くデメリットはこの移動距離が狭まる点です。

身近な上手い方の口元を観察すると動いていないように見えます。熟練の奏者は、この移動距離が本人も認知しないほど僅かな為と考えています。

しかし、この距離感を縮めすぎると、音質と音程にズレが生じます。

いわゆるセンターが無い響きです。

 

倍音飛ばし(オクターブ)/Mixの場合

このセンターを適切な幅へ戻すエクササイズがこの図2のパターン。

図2の2拍から3拍目の移動、倍音列を飛ばしています。奏者が苦手な音程に隣接する音程より遠い倍音からスラーで下がると、より適切な唇のポジションへ移動しやすい(ハマりやすい)

このパターンは一部の奏法は引っ掛かりやすく、あまり練習しない人が多いのも現状です。 (理由は謎)

いつも取り組まなくても良いので、違和感を感じる倍音近辺の唇の動きと位置を確認してみましょう。 

 

特に高音域へ特化した教本のへ音版。

 

 

ユーフォニアム 持ち方 まとめ記事

ユーフォニアム 持ち方 構え方

ユーフォニアムの持ち方、構え方、意外と説明がされていないので記事にまとめました。

これらは困っている人のヒントの1例です。必ずこの通りに行う類いではありません。一人一人、身体の大きさが違うように、ポイントも違います。

まずは良い音色や楽な吹き心地を最優先にし、後に腕や腰に痛みや違和感を感じる時に参考にしてみましょう。

手の形と注意点について

artysm.hatenablog.jp

 

 

 

サポートアイテムの紹介

artysm.hatenablog.jp

 

肘の事

artysm.hatenablog.jp

 

座奏、座る時の意識

息を押し出す際に使う筋肉は骨盤の中(腿の付け根)からです。

ちょうど座る時に最も体の変化が大きい部位です。

立奏の時と比較して、違和感を持つ方はぜひご覧下さい。

 

artysm.hatenablog.jp

 

※練習後の上腕の疲労は沢山練習している証です。腰や背中に痛みを感じる方は、鏡やビデオで動きを見てみましょう。休憩も沢山取りながら、自身のベストなペースを見つけて取り組んで下さい。

座奏の姿勢

座奏時の姿勢

f:id:artysm:20220130220957p:plain

座奏

ユーフォニアムほど立奏と座奏で身体の使い方が異なるのは珍しいと思います。

今回は立奏では調子良いけど、座るとしっくりこない、違和感がある人を主な対象にしてみます。

 

違和感の原因

座奏時の力加減

下半身のお話しといいつつ、もっとも力加減が異なるのは、左腕。

立奏の時は右腕と合わせて、左腕も一緒に構えます(使う)

では座る時、この両腕、左腕の力加減は同じですか?

学生など、小柄な方は、膝上に楽器が触れ、腕の力を抜いていると思います。

 

構え方、手、腕の扱い方についてはこちらを参照下さい。

artysm.hatenablog.jp

座奏時の下半身の扱い方

今回の本題の座り方のポイント、ぜひこちらの動画をご覧下さい。

www.youtube.com

2つのポイント

7:20〜の膝への意識と脚の位置と距離。

 

そして特に10:00〜からのお尻と座面のコンタクト、お尻が座面へ触れる際のイメージについての説明。

これは身体が左右に傾く/歪んでいる方にも効果的です。

息を吐く際、腹筋周辺の収縮活動を行いますが、骨盤や肋骨が歪んでいると、

その力を上手く伝達出来なくなり、その事が何らかの力みやクセに繋がっている場合が多く見られます。

 

演奏、音の悩みを一緒に解決しましょう。 スタジオアクセス、料金等、ご案内しています。

artysmbrass.page

短所への取り組み

年末最後のレッスンは高音域が得意な方のセッションでした。

低音域のアプローチ

ここ数回取り組んでいたのは、D→B(low)へ滑らかに演奏(繋げる)。

この方は改善策としてマウスピースの接地を唇の左側を多く強く意識すると上手く繋がりました。

今日も音出しから、D→B付近を上手く繋げて演奏されていますが、もともと得意な高音への繋がりと、響きも弱めでした。

さらに観察すると、3度、4度の跳躍時、高い音域で本来唇の右側(実線)を利用する所で、マウスピースがまだ左(赤点線)に留まっていました。

f:id:artysm:20211228214321j:plain

マウスピース

 

適切なポジション/位置

音域に適切な位置(受講生にとって右寄り)だと、これまで以上にいわゆる芯のある充実した響きが戻ってきました。

 

日頃の音出しの内容をヒアリングすると、苦手音域(下降/低音)を克服しようと真面目に取り組み、左方向への強い意識が低音だけ孤立した状態になり、もともと自分の中心(基準)から左へ逸脱したポジションに逸れたのが原因の一つのようです。

 

 今回は2つ倍音を使いB(Mid)→Fを何度もリピートし、マウスピースが移動する動きを覚え解決できました。

練習中、もっと聞く方に意識を向けると、本来の響きと異なる事に早く気付いたでしょう。連符や、複雑なリズムに意識を持っていかれると、この聞く意識が薄れます。

ゆっくり練習は吹くだけでなく、この聞く意識に重点を置くと一人でも解決出来ます。

リップスラーで、滑らかさ、速さの追求も良いですが、このように任意の音程感の唇の微細な変化を感じ取りましょう。(初心者でも)

そして、高い音⤵️下がる意外に、低い音⤴️上がる動きもスラーで繋げる相互方向の練習

も本人に強いフィードバックを与えるようです。

ぜひ練習に活用ください。

 

artysm.hatenablog.jp