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リップスラー 唇の動き

全ての金管楽器奏者が取り組み、時に悩む「リップスラー

今回は中級者以上の方へ向けた、練習での考え方、概念や動きについて説明します。

最近なんとなく調子悪い、鳴りがイマイチのようにスッキリしない方にも読んで欲しい内容です。

 

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リップスラー効果と2つのパターン

教則本の多くに様々なパターンやリズムのエクササイズがあります。

大まかには音の並び方で2つに分かれます。

  • 図1) 2notes (隣接する2〜3つの音程)を往復(順次に)する。
  • 図2)倍音を飛ばしながら演奏。(広い音程)

この2つは練習で得られる効果が異なるのを知っていますか?

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図1

 

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図2

 

倍音の移動=リップスラー

金管楽器は図3)のように、1つのポジション(運指)で10個前後の音高を演奏出来ます。すなわち、金管楽器にとってもう一つの音階とも言い換えられるでしょう。

大切なのは、演奏する上で、息の勢い/唇の緊張の変化が組み合わさって発音するので倍音を意図的にコントロールする事が上達に繋がる点に疑問を挟む余地は無いでしょう。

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図3

ほぼ全てのパターンが網羅される1冊。 

 

2ノーツ(notes)順次進行の場合

一般的なエクササイズ。図1)スタートの音の向きは下降/上昇どちらでも良いです。

演奏時、2つ目の音へ移動する際、わずかに唇やマウスピース周辺が動きます。(アンブシュアモーション)その際、以下の3点を注目

  • 上下左右への移動
  • マウスピースの圧力
  • その方向性

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上図の実線は1音目、点線は2音目への移動例です。奏者からすると僅かに左へ移動しました。この感触(事実)を認識しているか?

この際、マウスピースの圧力が移動に伴い、左が強く当たるか? また右が強く当たるか? 感じましょう。(★個人により上下左右のパターンが異なります)

最後、音域を広げる際、重要となるのが、この移動方向が常に一定か

 例)チューニングB→ F→ B 下降形ですが、この例の人では、下がる度に左下(上)へずれていき、上昇形なら上がる度に右上(下)へ連続的に移動します。

このパターンの練習メリットであり、後に続くデメリットはこの移動距離が狭まる点です。

身近な上手い方の口元を観察すると動いていないように見えます。熟練の奏者は、この移動距離が本人も認知しないほど僅かな為と考えています。

しかし、この距離感を縮めすぎると、音質と音程にズレが生じます。

いわゆるセンターが無い響きです。

 

倍音飛ばし(オクターブ)/Mixの場合

このセンターを適切な幅へ戻すエクササイズがこの図2のパターン。

図2の2拍から3拍目の移動、倍音列を飛ばしています。奏者が苦手な音程に隣接する音程より遠い倍音からスラーで下がると、より適切な唇のポジションへ移動しやすい(ハマりやすい)

このパターンは一部の奏法は引っ掛かりやすく、あまり練習しない人が多いのも現状です。 (理由は謎)

いつも取り組まなくても良いので、違和感を感じる倍音近辺の唇の動きと位置を確認してみましょう。 

 

特に高音域へ特化した教本のへ音版。