プロが解説 ユーフォニアム ウイルソン | ベッソンの2つの違い
新学期(特に春)ユーフォニアムを新たに購入される方へ、のウイルソン、ベッソン、ヤマハ、憧れのブランドや音色がありますね。
購入前にweb上のあれが良い、これが良いと口コミ記事があり、本人の感想は多く読めます。
今回はウイルソン、ベッソンどちらも10年使用し、楽器店でも選定するプロ奏者から、そもそも構造が違うよ、と客観的な視点で3社の違いをイラストにまとめました。
楽器を選ぶ際、身体の動きと感触を意識して演奏して見て下さい。
ウイルソンは持ちやすい
今時、楽器の音色はyoutubeで聴き比べられるので、今回は楽器を持った時の体の変化(違い)を説明します。
まずはユーザーが多いウイルソンの特徴です。最近までは、女性なら左手が握りやすいウイルソン一択でしたが、近年ベッソンが3番抜き差し管のレイアウトをアップデート(狭く)したので、選定に迷いますね。
それでも基本、持ちやすさ、構えやすいメリットは十分あります。
今でも変わらない箇所はマウスピースを差し込む受け手(レシーバー)の長さが短い
点。(下図 青丸)(ヤマハのカスタムも短い)ベッソンと比較すると顔からベルまでの距離が近く、楽器がより身体の近くで構えられます。
もう一つ近い箇所は右手のピストンの位置も右胸の近くで他メーカーと比べ、近い位置で操作出来ます。
ユーフォニアムは5kg弱の重量なので、上半身全体に支える力が入ります。身体にあった構え方ができればより自然で強い息を扱え、その事が充実した音色に繋がるでしょう。
ベッソン ソヴェリンの特徴
続いてベッソンのソヴェリン。以前は4番ヴァルブを操作する左手の広がりと距離に難がありましたが、近年大きく改善され、女性ユーザーも多くなっています。
楽器固有の音色の違いもありますが、それよりも楽器の構造と身体の相性がマッチするかの方が大きいと考えています。
ウイルソンで説明したレシーバーの長さが長いのが、ベッソンの特徴で(下図 青丸)、2つのメーカーを比べるとベル(楽器)が身体の遠い位置にあるのが感じられます。
ソヴェリン(ヤマハのNeo)が最も異なる点は右肩のポジションと肘の位置。
マウスピースの先からピストンまでの管の曲り方が大きく(下図 矢印の湾曲)、どちらかと言うと胸を反る(張る)ようなポジションで肘もあまり前に出ない位置で構えます。
特に楽器を左脇に挟んで構える方にぴったりです。
ベッソン プレステージの特徴
最後のプレステージ、レシーバーはソヴェリンと同じく、長めですが、ピストンまでの角度はウイルソンに近く、右手はトランペットのピストンの位置(赤点線)に近くなります。(ソヴェリンと比べより体の正面)右肘は大きく前方へ出て、構え方も左脇で抱えるより、骨盤左側に収まる角度での構えとなり、左右の肩が対象のポジションに近くなります。
この肩の角度の違いは呼吸と関連があり、肋骨/肩甲骨をよく動かすタイプ or
おへそ周りを張るタイプで、吹きやすさが別れるでしょう。
ソヴェリンとプレステージ、リードパイプの角度比較 ↓
まとめ
ウイルソン(カスタム) レシーバーが短く、コンパクト。
プレステージ(ウイルソン)両肩が左右対称なポジションで構えられる。
ソヴェリン(Neo) 特に右肩、鎖骨を張り、左脇で挟む人
このシャンクの長さによる違いは首の長さ、胸の厚さとも関連があります。
胸に厚みがあり、首が短い方(ぽっちゃり系)はウイルソンのようにレシーバーが短いタイプは首や顔を前方に近づける動きが必要でしょう。
やせ方の方で腕が長めの方はウイルソンのようにコンパクトなタイプより、ベッソンの方が腕の長さが余ることなく構えやすい傾向です。