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 CDレビュー 【ユーフォニアムジャーニー2】

昨年末に発売された露木さんの2ndアルバム、前回はライブ盤という特殊な環境に対して、今回はホールでの収録という事もあり、音の解像度に期待が膨らみます。

|プログラム演目について

まず演目では前回同様に、古典派より、バッハのピアノ曲BWV525(移調)のアレンジ作品を冒頭に選択されました。本人談によれば、自身への課題とチャレンジとの事ですが、装飾音符の軽さ、ピアノとの掛け合い、大学生のお手本となるような丁寧なタッチがとても良く伝わる演奏です。

昨年のリサイタルでは取り上げられず、このアルバムの為の演奏に、バッハ同様、前回と同じ作曲家として、シューマンの名曲、アダージョアレグロop.70が入っています。まずアダージョ部では、デリケートな和声変化を見事に表現され、うっとりとするような演奏です。対してアーティキュレーションと音域のコントロールが難しいアレグロは軽快な演奏ですが、移調のせいか、非常に低い音域でのピアノとのアンサンブルと2+3の運指での響きのまとめ方に難しさを感じました。しかしながら学生が様式やロマン派の和声を学ぶにはとても良いテーマでしょう。今後作曲家によってベストなキーにアレンジして欲しい作品です。

|ゴーランドの協奏曲第二番

さて今回のアルバムのメインとなるゴーランドの協奏曲第二番、おそらくピアノ版は今回初めての録音かと思います。

この曲はゴーランドの死の2〜3年前という晩年の作品で、第一番での勢いと、スピード感溢れる作品と比較すると大人びた作りになっており、楽譜にもテンポを揺らす指示が記載され、和声進行もロマン派を意識するようなオーソドックスな作品です。1、3楽章に見られるテクニックはもちろんですが、2楽章の歌は必聴です。英国の歌い回しとは異なる、露木節が堪能出来るお薦めの一枚です。(D.チャイルズ、S.ミードの両氏もバンド版を収録、レガートの扱いが大きく異なる)

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|収録について

またアルバム1枚を通じて気になったのが、ソリストが小さい音量の際マイクから逸れているのか、意図的に別なサウンドを狙っているのかいずれにせよ、若干ぶれていたのが気になりました。(音楽性に関係の無い些細な事ですが)

露木氏の音質かつ、三鷹芸術文化センターでの収録ということもあり、リバーブの量と深さを最小にしても良いのではないか?1ファンとして思いました。

アルバム1枚の中にオリジナルが1曲のみ、その他はすべて管、弦を含む他の楽器の名作を収録したあたり、今日のユーフォ奏者に何を問いかけているのか?また聴衆がどう感じるのか非常にメッセージ性を感じた作品です。