ユーフォニアム上達 Tips

ユーフォニアムをはじめ金管楽器奏者向けの情報サイト

Katrina Marzella × HBB演奏会レビュー 

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=KpsggssLGBY?rel=0&showinfo=0&w=560&h=315]

5/24大阪の豊中にて開かれたHBBの演奏会(都合上前半のみ)に行って来たのでいくつか感想をまとめてみます。今回はユーフォファン待望のKatrina Marzella女史がゲスト参加し、立ち見が出る程の盛況ぶりでした。吹奏楽程認知されない金管バンドでもHBBの告知であったり人脈の太さが感じられました。

まずはマーセッラ女史(HBBの表記で統一)の演奏スタイルから。前から3列目でほぼ彼女の前の席で見ましたが、顔立ちがカワイイので小柄なイメージのなか、映像での印象より骨格が大きいというか太い(ファッション的な意味ではなく)さすがに欧州の遺伝子ですね。

|本場のサウンド

サウンドについて特筆すべきはイントネーションの正確さでしょう。バリトンを触った方ならご存知の通りユーフォとは異なるイントネーションかつ、ヴァルヴによる響きのムラも多い、決して扱い易い楽器とは言えませんが特に変え指を使わず全ての音域においてよく響かせていました。今回はヤマハNeoモデルのプロモーションも兼ねての演奏もあるのでしょうが、ヤマハの長所とマッチしているようでした。ビブラートも日本的(グローバル的)ないやみのない、響きを補い、表現する一つの方法の手段として用いて好感がもてます。これが英国全土でそうなのか、彼女の個性なのかは気になる点です。

表現の方向性は、アンコールで演奏したホーリーウェルでは倚音の扱い方をはじめ、機能和声の非和声音に重点をおいた繊細さが感じられ、エレビーの協奏曲では音量を絞ったpでありながら表記されたスタッカートやアクセントが明確に表現され高い技術力が際立っていました。リリカルで、少しアイルランド風な2楽章ではブレスコントロールと3楽章まで維持するスタミナのコントロールが求められる中、沢山の装飾音を独特な扱い方で上手くまとめていました。学生の将来の為にHBBの方にはリハーサルも含めもっとも近くで接しているので音源も含めなにかまとめて共有する方法を考えて頂きたい。

|Tutti、アンサンブルの中で

彼女の使用しているバリトンについて、チャイルズの時代(80〜90s)の音源をベースに比較するとバンドの中(伴奏)では重いサウンドのように感じる。金管楽器には10〜15年で流行の傾向がライトだったりヘビーだったり揺れる中、現在はバランスを取りながらライトで、扱い易く、響きの深さはマウスピースや(重りのシートかリーフレック)で調整する傾向の中、吹奏楽にも通用しそうな太い音は日本をはじめどのバンドにフィットするのか気になる。ユーフォパートとのバランスも難しい。彼女の1stアルバムで使用した4ヴァルヴのモデルから伝統的な3ヴェルヴへ回帰したので楽しみにしていたが、楽器のチョイスが多くない中、今後の動向に注目したい。ちなみにベッソンのユーフォが英国→独へ移転した際の細かい変更点をまとめる。

ベルサイズが若干小さくなる(特にスタンダードベル)

材質の質感が薄く、柔らかく、軽くなる。

特にソベリンシリーズはベルの肉厚がプレステージより薄い使用。(U字管以降の補強版の簡略化は90年代後半GSモデルから採用されている)

最後にエレビーの協奏曲について、拍子も細かく変化し、大きいダイナミクスが求められるバンドのパートも簡単でない中、いわゆる新古典の非和声音の機能を指揮者が感じているのか疑問が残る作りだった。1と3楽章内に表れる、英国のアクション映画のモチーフのパロディがあるのに、伴奏に埋もれ立体感に乏しい流れだった。指揮者は高校教師なので和声は理解しているだろうし、リズムを整えるのが必死だったのか、少し残念だった。またバンド全体のアンサンブル感の士気が高い中、何人か個人の趣味を曲奏に関係無く演奏しているのがもったいない。

前年よりブラックダイクメンバー2人を招聘する大きなイベントは関西のバンドにとって非常に刺激的で次世代の奏者にとって大切な指標となると思うので、HBBの皆さまには感謝したい。

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=kUaL0Xio5bA?rel=0]